前回書いた今回のグアテマラ フエゴ火山大噴火についてニュースを見ているうちに、2018年の5月にハワイ島のキラウエア火山噴火のことを思い出し、ハワイ島の噴火も大きな被害を受けたけど、死者や怪我人のニュースって聞いたかな?と疑問がわきました。
過去のキラウエア火山のニュースを探したらこちらの記事を見つけました。
引用
キラウエア火山噴火で初の重傷者 溶岩のしぶき、足にかかる
米ハワイ州ハワイ島のキラウエア火山の噴火活動は20日も続いた。溶岩流の噴出地域が広がっており、3日の噴火から初めて住民1人が重傷を負った。当局は退避命令の対象地域を拡大、孤立した住民らをヘリコプターで救助した。
キラウエア火山は世界最大級の活火山。噴火口以外にも山腹や道路などにできた20カ所以上の亀裂から溶岩流が噴出。ハワイの火山観測所によると、溶岩は島南部の太平洋に流れ込んだ。有毒な成分が海水と混ざり合い、大気汚染による健康被害を引き起こす恐れがあるという。溶岩流は住宅地にも達し、40戸以上の住宅などに被害が出た。
地元当局によると、重傷を負った住民の男性は自宅バルコニーで溶岩のしぶきが足にかかったという。
出典 産経ニュース https://www.sankei.com/photo/story/news/180521/sty1805210003-n1.html
確かに大きな被害を受けたけど、死者は出していなようです。
対照的な今回のグアテマラ火山噴火の死者の数、何百人もの負傷者の数。
グアテマラは1902年に数千名もの死者を出した噴火以来、これほどの激しい火山噴火は、116年もなかったとのことなので、住民の火山に対しての警戒意識の違い?噴火の知らせが遅れた?など思いましたが、どうもそこにはハワイの噴火とグアテマラの噴火の大きな違いがあったのです。
興味深い記事を見つけました。
引用
グアテマラ火山噴火の死者60人に、なぜ多い?
ハワイ・キラウエア噴火と対照的、理由を専門家に聞いた6月3日に中米グアテマラのフエゴ火山が噴火し、60人以上の死者が出ている。
動画からは、噴火によって火山灰が立ち上る様子がうかがえる。5月に噴火し、溶岩がゆっくりと流れる米ハワイ島でキラウエア火山と比べると、対照的な光景だ。ハワイにおける被害が、じわじわと建築物が破壊されるにとどまっているのに対し、グアテマラではなぜ、これほど多くの死者が出たのか。(参考記事:「【動画】ハワイの噴火、なぜ人は火山に住むのか」)
フエゴ火山とキラウエア火山の違い
キラウエア火山は、楯状火山と言われ、裂け目から溶岩の塊がじわじわとあふれ出てくるのが特徴だ。一方のフエゴ火山は、成層火山と言われる。このタイプの火山では、灰や溶岩や泥が勢いよく噴き出してくることが多い。噴火のしかたが違うのは、火山を形成する地質が違うからだと、米ウェストバージニア州コンコード大学の火山学者ジャニーン・クリップナー氏は語る。「マグマ自体がまったく違うのです。キラウエアのマグマは、粘性が低く流れやすいので、火山ガスはすぐ大気中に放出されます。しかし、フエゴ火山のマグマは粘性が高いのです」
マグマの粘性が高いと、閉じこめられたガスの気圧が上がり、爆発的な噴火が起こる。まれに新しい噴火口が形成されることもあるが、今回のフエゴ火山の噴火は、既存の火口で起きている。(参考記事:「溶岩にのみ込まれたカメラ、撮影を続けていた」)
火山被害のメカニズム
火山でもっとも大きな被害を出すのは、噴火に伴う連鎖反応だ。フエゴ火山では、火口で爆発的な噴火が起きたあと、岩石や火山灰が斜面を滑り落ちてきた。この現象は火砕流と呼ばれ、場合によっては庭石ほどの巨大な岩が含まれることもある。「火砕流はとても熱く、とても危険です」とクリップナー氏。(参考記事:「予知できる噴火、できない噴火」)
火砕流が落ち着いても、不安定な岩石は残る。グアテマラのほとんどは熱帯に位置するので、頻繁に豪雨に見舞われる。雨と火山性堆積物が混じると、ラハールと呼ばれる危険な火山泥流が発生することがある。少量の雨なら、ラハールは生コンクリートのようになるだけだが、大量の雨が降れば、鉄砲水のような泥流が押し寄せてくることもある。(参考記事:「村をのみ込む泥噴出、止まらない原因を解明」)
フエゴ火山の周辺では、空気の質も悪化している。火山の噴火では珍しくない被害だが、火山灰を吸い込めば、呼吸器系の疾患につながることもある。そのため、専門家は屋内で過ごすことを推奨している。
このあたりには、フエゴ火山のほかに2つの成層火山が存在し、そのすべてが地質活動の活発な地域にある。ただし、クリップナー氏は、一つの火山の噴火がほかの火山の噴火を誘発するという証拠は見つかっていない、と話している。
フエゴ火山は、この地域でもとくに活発な火山と言われてきたが、今回の規模で噴火が起きたのは、数千名の死者を出した1902年の噴火以来となる。1974年にも大規模な噴火が起きたが、近隣の農場に被害があっただけで、死者は出ていない。
出典 日系BPナショナルジオグラフィックhttp://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/060500246/
上の引用文からそれぞれの特徴をまとめると
キラウエア火山(ハワイ)・・・楯状(たてじょう)火山。裂け目から溶岩の塊がじわじわとあふれ出てくるのが特徴
フエゴ火山(グアテマラ)・・・成層(せいそう)火山。灰や溶岩や泥が勢いよく噴き出してくるのが特徴
楯状火山と成層火山の作り(?)の違いは、火山から出てくる「マグマの質」と「マグマの温度」にあるようです。
分かりやすい図を早稲田大学地学愛好会出版部さんで見つけたのでお借りしました。(もしNGの場合はお手数ですがご連絡ください)
こちらの電子書籍の参考写真より↓
なるほど火山とひとくちに言っても、火山を形成する地質によって性質が全く異なる事が分かります。
日本が誇る富士山は成層火山なんだそう。
ハワイの噴火では下のような火砕流が印象的でした。
そして今回のグアテマラは火山灰が世界を覆いつくすような勢いです。
ハワイ島の噴煙の高さは9000mに対し、グアテマラのフエゴ火山は15000mを越えたそうです。
更に気になったのは引用の最後の下線部分。
大量の雨が降れば、鉄砲水のような泥流が押し寄せてくることもある。
私ははじめ、雨が降って火山灰を沈めてくれれば少しは健康への被害が防げるのかと思ったのですが、それも安心できないようです。
同じく引用の中にあった参考記事「「村をのみ込む泥噴出、止まらない原因を解明」を読むと、地面から吹き出し始めた泥水が熱い濁流となって村を飲み込み、その「泥火山」の規模は東京ディズニーランド8個分、泥の深さは所によっては18メートルにも及んだそう!
グアテマラの季節は私の住むメキシコ・カンクンと同じ流れで、
5~10月・・雨季
11~4月・・乾季
となっていて、ちょうど今雨期に入ったばかりです。
雨季はバケツをひっくり返したような土砂降りの雨が降ることが増えます。そして同じくカンクンも併せ、雨期はハリケーンが発生しやすい。
火山が噴火した6月の頭。
迅速な救助作業や早い復興を願いますが、今後、グアテマラの被災地が雨による2次災害を起こさないことを願うばかりです。